群像/飯沼ふるい
めて画用紙を青空で埋めた。青く円い太陽はすっかり潰されて、雲を描くのも忘れた。
※
2014.11.30
またなにもしない1日。
彼らを思うことの虚しさ。
仕事を探さねば。
社会に出て働くこととは相容れないが、仕事をしなければ何事も説得力に欠ける。
※
教皇への布施を誤魔化し続け、売れない芸術家を養い続けたシチリアの銀行家は睡眠中に窒息死しました。
彼の不倫に嫌気がさした妻が、湿らせたシルクのハンケチを彼の喉に突っ込んだのです。
彼が死ぬ間際まで愛読してきたヴェスプッチの『新世界』第3版は、彼の死とともに妻の手で焼かれました。
その火を種に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)