群像/飯沼ふるい
種に、思想家の卵が心密かに疑念視していた易経もまた、始皇帝の命により焼かれたのです。
それらの、明るい燃焼音を記録したレコオドはいずれ、オクラホマの図書館から見つかることでしょう。
その翌日の早朝、南米の密林に流れる小川に、純度の低い安物のコカインが大量に流れました。それを拾い上げた者が、キュロス2世に仕えた軍人の一人でした。
興味のままに服用し、興奮した彼が見たのはどこか遠い国から湧き立つ蒙古高句麗(ムクリコクリ)の雲でした。
神にも見紛う姿だと、畏れ敬う彼の大きく開かれた瞳には、新しい生の兆しがきらめいていました。
湧きあがる力のままに、彼は下エジプトの麦畑を蹂躙したのです。その
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)