群像/飯沼ふるい
 



えぇ、ご指摘の通り、これはシベリアンステップの凍土に眠る名もなき独逸の冒険家が手首に巻いていたスカァフです。それはさておき私の話をまずお聞きなさい。





一小節、まだまだ弦楽は引きつって笑わなければならない。ティンパニ、ティンパニ。ここで叩く音が嬰児を爆ぜさせて射精、掌握された、
二等星、そのために手を繋ぎ唾液を髪に垂らす星、下痢をぶちまける、指のかたちに、夜が河川に運ばれる、星が運ばれる、海へ、塩辛い破裂音が犬吠埼に弾かれる、
3番線、それは以前に書いた詩の名残、架線にたなびくビニール袋、聞き慣れた単位に染められようとする一筋の希望、
地平線は震え、たくさ
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