白熱 サイドA/佐々宝砂
 
ら それこそ白熱の情熱であなただけを思って生きてきたんですから 愛は常に対象との同化を夢みるじゃあありませんか お願いです どうか 俺の言うことをきいてください と 顔をあげて言ったとたん俺は間違いに気づいた それまでつるんつるんのぴかぴかののっぺらぼうだったあのひとの非在の顔の両脇にふたつの穴が開き 血飛沫があのひとと俺の顔を汚した 俺はひどく悲嘆してあのひとの顔に飛び散った血液をぬぐいとろうとした しかしその赤い汚れはどうしてもどうしてもとれなかった あのひとはそれきりもう動かなかった 俺はただふたつの穴をあけただけだったのに あのひとは

身体に七つの穴を穿たれたので死んだときいた そ
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