白熱 サイドA/佐々宝砂
俺はあなたになりたいのです 不遜でしょうか 不遜ですね それはわかっているのですけれど 俺はあなたが好きなのです 愛しているのです あなたとどうかしたい のではなくて ええと あなたと同化したいのです 「女。またも穴を穿てと言うか?」 いえそんなわけじゃなくて あなたが好きなのです だめですか ええと だめということはないでしょう いかに俺が不遜でも あなたはなにも拒まない なにひとつ拒めない だからこそあなたはあなたであり あなたはあなたではなくなったのではありませんか 少なくとも荘子思想の教科書はそう書いてますが 「女。同化してどうするのだ」 だってあなたとどうかするのが俺の夢なんですから
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