あいつは復讐したがっている/オダカズヒコ
存在すらしていないのかもしれないと思った
憎しみは
やがて虚しさへと変わった
俺は
生まれてきた意味を考えるようになっていた
虚しさは
俺から感情を奪ってしまった
嬉しいとか
楽しいだとか
かつて俺を突き動かした
あの憎しみから生まれた
激しい怒りの感情さえ
俺の中から奪っていった
あの憎しみは
世界への憧れから生まれていたのだ
だとすると今の俺は
抜け殻のように
何の意志も持たない
フォルムのような存在なのかもしれない
人生は無意味だという観念が
俺の中心に居座り続けた
無意味に働き
無意味に眠り
無意味に起きる朝
俺の中心に居
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