窓に何を探す?/瓜田タカヤ
 
を、これまた暗く食していたりする光景が現れた。

カミさんはは新しい環境の、どこかささくれ立った希望の雰囲気に
心が萎縮しているようで、俺も落ち着かない病室や、せわしない大病院の
流れ作業的な空気感に、微弱におびえていた。

面会時間が終わり、少し険悪なまま別れた。
エレベーターが閉まるときにカミさんが泣いてしまった。
カイリはそれを見て泣いた。

外はもう真っ暗で肌寒く、風が強かった。

青森の10月独特のシャーベット状の冷たい雨が俺達の身体を乱暴に打ち
俺はカイリを抱いたまま車へとその足を急いだ。

その時、俺の腕を押しのけんばかりの勢いでカイリが背骨を反った。
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