窓に何を探す?/瓜田タカヤ
 

俺は、寒いのにさあ何してんのよ。とばかりに見あげた。

「ママいないねえ」

カイリは暗闇の中のいくつもの巨大な窓枠らの塊を凝視していた。
暗の14階建て、巨大な病院のいくつにも
規則的に連なる窓らを眺めずっと探していた。

彼女は2階建ての病院の時と同じように、母親が窓を開け、手を振り、
「気をつけてね。」と話すであろう一連の行動を渇望して、
母親を探していたのだった。

俺は強く彼女を抱きながら「ママどっかの窓からパパ達見てるけど
見つからないねえ。」と話した。

家についてから2人でガスコンロの火をつけ、ポップコーンを作った。
それは焦げてしまいイマイチで、子供と苦いねえといいながら残した。

暗闇の中に連なる窓枠達は、現実感の現存だ。
俺達はいつでも、何百もの窓の中のひとつを探している。

そこに映し出されるものが、あらかじめ愛である事を
本当は知っている上で、
俺達は愛に溺れる日常を探している。

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