ウサギの階段/竹森
という薄い扉をこじあける。我々はかつてマッチ売りの少女だった。そうだ。むかしむかし。ウサギを殺した罰で月まで飛ばされた我々はその月を地球と呼び、そして、ああ、そうして。
ウサギの死体を積み上げて階段を作り上げる。階段を形成するルールは単純だ。一段ごとに一匹、一段前よりも多くのウサギを積み上げればいいだけ。そして積み上げるウサギは逃げない死体であること。世界の終わりに合わせて大量発生したウサギ。人間をウサギと呼びはじめた我々が積み上げていく我々の死体。人間なんていなかったのだ。我々人間がそう思いはじめる自然ななりゆきがこの世界の終わり。そうだ、はじめから人間なんていなかったのだ。それは歌詞では
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