不可能な交換/オダ カズヒコ
てのことだ。
私は額の汗を懸命に拭った。
留置所は何度押し込んでも戻ってきた。私はネズミのあそこに念入りにグリスを塗り込み、鉗子を使いながら無理やり留置所を押し込んだ。のぶ子は田村の名を呼んだ。「浩一!」「聴こえる筈もない・・・」私はニヒリスティックな調子でのぶ子の馬鹿げた言動を鼻で笑った。「グリスが足りないんじゃない?ほら、もっと奥まで!」のぶ子は叫んだ。
∞
麦わら帽子のネズミはオリオンビールを片手に自衛隊に封鎖された国道脇のコンビニエンスストア前で、私の目の前に、彼は自分のあそこを大きく開きながら、意味ありげに笑った。
ネズミは明らかに保菌者だ。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)