昇進/葉leaf
 
に止まったが、私一人だけ降りて、残りの人々は石化したまま電車を降りようとしなかった。
私は会社に着くと、まず服を脱がなければいけなかった。なぜなら、着ている服には以前の地位がどっぷり浸み込んでいるので、昇進の邪魔になるからだ。私はまず自分の裸を昇進させないといけない。昇進は皮膚の上から私の内臓や血液、脳髄や骨格に浸透していくものなのだ。私は社長室の中に通された。社長はけたたましく笑っていた。社長秘書は社長の笑いを丁寧に記録していた。社長の笑いが終わると、社長は私に背を向けた。すると私は社員たちによって地下書庫に連行された。私は過去の文書の紙を縫って新しいスーツを作る作業にその日一日を費やした。日
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