営み/桂
いに伝え合うお互いの座標
馬鹿になった前頭葉が理解できるのは一つだけ
今二人は誰よりもそばに ーー
荒い声で耳元で何度も囁かれる自分の名前
快楽に溺れて沈んでいく二人は
今では光の届かない深海にいて
お互いの胸に備えられた小さな酸素ボンベから漏れ出る息吹を口移し
体を重ねる度に感じるこの欠乏感は 酸欠のせい?
彼女は今夜も空っぽの子宮を寂しそうに撫でる
神様 本当にいるならGod bless us
埋めて欲しいんだ 二人の間にある最後の隙間...
笑い声が聞こえて
彼が寝室の窓に口をつけて風船をふくらますみたいに吹き込んだ新たな息吹
暖かくて
二人の部屋にだけ春
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