血液/葉leaf
その流れを許すのが一つ一つのハンコだ。そこには優しさと厳しさが一体となって表示されており、血液が課長のところまで至って初めて組織はその生命を躍動させるのである。
公衆の批評に耐えうる地点まで、組織の意思である文書は書き換えられる。組織の血液である朱印もまた、その朱印の持ち主の視線に耐えうるという意味で、血液の弁が開くのを許しているのである。起案者の血液は組織の血液の一番初めの色をしている。そこに査読者の血液が混じることで、起案者の血液は薄められ、文書にも査読者の意思が混じり、そうして個人は組織へと少しずつ変化していく。
組織という、具体的な個人ではなく、個別の表情や個別の責任を持たない
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