血液/葉leaf
 
ない目に見えない存在。個人の集まりがハンコを並べることで組織へと飛躍する場、それが決裁欄である。そこでは、個人の血液に次々と色の異なる血液が継ぎ足され、文書が単一の意思から複数の意思の融合へと変化していき、単なる機能であるところの組織が、ハンコの並び、その血流で亡霊のように立ち上がる。組織は単なる個人の集まりではなく、決裁という完結した血流によって飛躍的に成立するもの。同じように、社会は単なる組織の集まりではなく、下の組織から上の組織への血流により、さらに飛躍的に成立するもの。個人は社会に向かって己の血を投げかけている。その血は厳しい吟味のあと、いくつもの驚くべき飛躍を重ねて、いつの間にか社会、この見えざる巨人を形成していく。

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