血液/葉leaf
組織という一つの芽生えは、個人という複数の種子から養分を吸い上げ、個人がもはや原形をとどめなくなったときに、一つの融合した意思として外部に向かって無形の微笑みを投げかける。個人がそれぞれの顔かたちを持ち、それぞれの考えを持っていても、そういう個人の美しい構造を吸い上げ組み換え、もはや個人の構造が見えなくなるところで組織はその機能を果たしてゆく。
組織の文書には決裁欄があり、起案者から決裁者まで、下から上に向かったハンコがきれいに並んでいる。一人一人のハンコは苗字の文字の形をした赤い痕跡であり、血の跡のようなものである。下の地位の者から上の地位の者へ至る組織の血液の流れを示し、その
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