妖精のいたずら(だーれも知らないシリーズ5)/森川美咲
 
ながら
森の奥へ誘(いざな)う

風と走り
光を纏い
花になり
遊び疲れて眠るまで

おみやげは
不思議な夢の記憶と
柔らかい髪に引っ掛かった花びら


だーれも知らない森の奥だけど
入ってくる人間はわりといる
今日はほら
偉ーい森の研究家

森のことなら何でも知ってる
道に迷ったわけじゃない
この木はブナ、ナラ、そしてカシ
おやおやこの足跡は…

そんな男の目の前に突如
一陣の風と
一筋の光
そして
花が降る

ふむふむ、この花は
なるほど珍しい
透き通る羽は彼の視線を
そのまま透き通す

偉ーい森の研究家の
知らないものは
[次のページ]
戻る   Point(1)