詩のレシピ(改)/hadukino
 
生の胃弱ばかりを受け継いでしまった。力ない叫びは届かないかもしれない。だがこの言葉は残る。

へその緒を収めた小さな箱。仏間から取り出して愛おしげに眺める母の目に、私は映っていない。原初の記憶は一方通行で、いつか通行止めになる危惧さえ孕んでいる。それでもいきなさい、あなたはいきなさい。背を押したのもまた、母だった。


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III.模索
飛び石に足を滑らせて落ちた。先は。シの間際、わたし為らしめる呪が解かれて命綱になる。境界線にフックして描く古い十字架。背負ったものを捨てる機会はめったにない。力を緩める手。溺れてもいい関係を取
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