一瞬に輝く/田園
“彼ら”を目の端でとらえ
それでも私は生きた
私を殺そうとした“彼ら”
―今思うととても人間らしかったが
私は憎み それ以上に恐れた
その人間らしさは私の人間らしさと違ったのだろう
それだけだったのに
そこだけがずれた歯車だったのに
だがやがて“彼ら”は飽きて
私を忘れた
私は一息ついて
生きている
と呟いた
気がふれた私と酷く冷静な私と
二人が笑った
疲れた
しかしもう殺されることはないという
安堵の笑みだった
私の恨みは昇華され
“彼ら”は幻のように消えた
暖かい木漏れ日が降り注ぐ
孤独は友となり
肥溜めは清らかな水に変わった
いや最初か
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