信念/桂
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俺はまだ決めかねている
右の耳元で老人が過去を囁く
左の耳元で若者が未来を熱心に語る
彼らに耳を傾けているうちに本音がまた声を潜める
少し離れた席で手を振る友達が積み上げているチップを見て無意識のうちにでた舌打ち
打ち上げ花火のように音に遅れて
見えた自分の中にある黒い闇
チップを積み上げ続ける者とチップを奪われ続ける者
このゲームは本当にフェア?
テーブルの上で起きる出来事 全てが生まれる前に仕組まれた出来レースに思えてくる
運命に挑んでみたところで
人生は二重螺旋にみっしりと書かれたスクリプト通り進んでいく退屈な物語
配役は決まってる
「番狂わせ」なんてアドリブ
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