立ち止まる子供/まーつん
 
られた瞳は
 風に揺れ
 陽ざしに瞬く梢を
 見上げたまま
 動こうとしない

 転がらないビー玉は
 いつまでも
 透き通ったまま

 やがて、苛立つ母親が
 舞い散る枯葉の向こうから
 足音高くやってくる

 大きな手に
 腕を掴まれ
 早くなさいと
 引っ張られても
 足を踏ん張り抵抗し

 雨あられと
 降ってくる叱責

 聞き分けのない子
 扱いづらい子
 何を考えているのか
 分らない子

 その子はやがて
 泣くことを覚える

 世界との
 間に広がる隔たりに
 涙の川を流して
 橋をかけることを
 知らない

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