立ち止まる子供/まーつん
られた瞳は
風に揺れ
陽ざしに瞬く梢を
見上げたまま
動こうとしない
転がらないビー玉は
いつまでも
透き通ったまま
やがて、苛立つ母親が
舞い散る枯葉の向こうから
足音高くやってくる
大きな手に
腕を掴まれ
早くなさいと
引っ張られても
足を踏ん張り抵抗し
雨あられと
降ってくる叱責
聞き分けのない子
扱いづらい子
何を考えているのか
分らない子
その子はやがて
泣くことを覚える
世界との
間に広がる隔たりに
涙の川を流して
橋をかけることを
知らない
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)