立ち止まる子供/まーつん
 

 道に溢れ出た
 沢山のビー玉のように
 周りの世界を見回していて

 彼もまた
 その中の
 一人だった

 澄んだ硝子玉は
 まだ、路肩の泥に
 曇ってはいない

 持って生まれた
 個性の色が
 光に透けて、輝き

 道の向こうでは
 大きな人影が
 手招きをしていた

 でも
 皆が駆けていく中
 彼は、ただ一人

 立ち止まる子供

 蒼い風の季節に
 緑の傘を広げ
 枝を打ち震わせる
 木々の足元を

 小さな人影が
 三々五々
 歓声を上げて
 走り去っていく

 そして、
 気が付けば一人
 取り残さ
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