-4℃黒の領域/凍月
まるで誰かに後ろから
首を絞められているかのように
そこには何も無い
手を伸ばしても掴めない
本質の影の影が
大きく巨きくなってゆく
眩しすぎたから
明かりを全部消した
ビルの非常階段を
足をもつれさせ
息も切れ切れに上がる
無言で
暗闇の中
階段を上るという同じ動作を繰り返す僕
影から逃げる為に
影が濃くなると僕が薄れる
影がいるなら僕はいらなくなる
お前が僕なら
同じ人間は二人も要らない
光が無ければ影は消える
だから明かりを消したのに
目を開ける
黒い
目を閉じる
黒い
この黒い視界の空間全てが
お前なのか
寒い
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