-4℃黒の領域/凍月
 

全速力で階段を駆け上がり
屋上への扉を蹴り飛ばした
光ある所なら影はまだ
僕と同じ大きさだ


小さくもなり大きくもなる
夜の全てにも瞼の裏の全てにもなる漆黒
もう一人の僕、昏い感情
-4℃黒の領域
お願いだから消えてくれ
瞬きを止めて影おくり
僕の暗い汚い感情
どうか消えてくれますように
青空に白く白く
直黒の輪郭を刻み込んで

跳躍
落下
衝撃
暗転

凍えそうに冷たい

地面に染み込んだ人の形をした血と
人だったものの形をした影が重なる
今際の真っ黒の世界で気付く
僕の領域の中に含まれていたのか
僕の中の、もう一人の僕
-4℃の黒い領域





戻る   Point(7)