石/葉leaf
夢の中で男と二人連れで歩いていた。河原に降りていくと一面のススキで、その間の小道をさらに河沿いまで下っていった。辺りはもう夕方に近く、光の濃度が高まっていた。「見なさい。」男は言った。「あなたの河原には石が一つもない。」言われてみるとその河原には砂しかなかった。「これはあなたが人を信じないからです。人を信じることに長く耐えていくことで、河は一つずつ長い流れに乗せて石を運んでいくのです。」確かに私は夢の中で人を信じることのできない若くて荒んだ人間だった。「人を信じることで、あなたのまわりにはいくつも重い石が置かれていく。もちろん裏切られることもあるでしょう。ですが、一度人と信じ合ったとき
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