AUG.2004 断片/藤坂萌子
 
なんで千切れてるのかな
バス停に蝉のからだがおちてる。
きっと、
もう何回も死んだのだとおもう

リーディングしているときは、
「どうかあなたに触れさせて」と手を伸ばしてる気持ちになる。
でも、触れたい、というのとは、微妙にちがうみたい。

片手のないねこのお引越しのはなしを聴いた。
他者に委ねる覚悟、あるいは、
他者をひきうける覚悟をしたことのない人には
わからない。

きっと、もう何回も死んだのだとおもう。


お湯を張ったホテルのバスタブに浸かって、
買ってもらったアイスを食べた。
いちばん、すきな乗り物は飛行機
にばんめは、夜のタクシー
あるひとつ
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