時の坂道/るるりら
 

    
袈裟がけに差し込む日の光が 坂のノリ面一面を照らし 花を見つけた。
あたりが暗くなるほどに その花は 暗さに反して明るく灯る
かなたに見える灯りも 近くに行けば その花は時計の形をしている。

この花は、時計草だ。 
本物の時計なら 時針分針秒針がある。この花のシベは三又に分かれている。
本物の時計なら 時間をキメルのは竜頭だが、この花の時間をキメルのは?
あたりは日が暮れかかっているというのに、この花は どれも三時前を示している。
三時を目指す こどもたちが 後ろから駆けてきて 私を追い越す。
追い越した こどもたちは なぜか 追い越したとたんに
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