小屋/草野大悟2
僕が管理していたから、同じ生物クラブ員も、僕の許可なしには中に入れなかった。ただ一人の女の子を除いては。
中学二年の春、新しいクラスになったばかりで、なんだか居場所がないと感じられる昼休み、「ウサギ小屋」に行こう、そう思って教室を出かかった僕に
「中村くん、ウサギ見せてくれる?。陽子、ウサギ大好きなんだ」
女の子がそう声をかけてきた。ふりむくと、ショートカットの女の子が、二重まぶたの大きな目をまっすぐ僕に向けて微笑んでいた。 それが、佐藤陽子だった。
彼女は新体操部で、ずば抜けて成績が良く、ショートカットが似合うとても可愛い女の子だった。
僕はこれまで女の子から声をかけられた
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