小屋/草野大悟2
 
その一部始終を両親と先生に話した。彼らは、気持ちの悪いものを見るような目をして僕を見た。両親が僕を気に入らず、同級生が僕を直接いじめない理由のひとつが、ここにあるように思える。

 中学校のすぐ隣に「ゆりストア」というスーパーがあり、僕の大嫌いな、でも、父と母は大好きな、ウサギ肉が、時々売り出されることがあった。
 店の仕入れを兼ねた買い物は僕の役目で、「ゆりストア」のチラシにウサギ肉の安売りが載ると、母は「文人、今日はウサギステーキよ」、と妙にうきうきして、僕にウサギ肉を買わせ、それを甘辛く焼いてくれたけれど、僕はげんなりするばかりだった。
 父は、店の人気メニューのウサギステーキを旨そ
[次のページ]
戻る   Point(1)