小屋/草野大悟2
 
、店の前で車にはねられて死んだ。とても人なつっこい、目のぱっちりした色白の女の子で、そのとき確か五歳だったと思う。
 それから時々、同じ学校の子や、全く見ず知らずの通行人の背後に、ロープを首に巻きつけまっ青な顔をしたその人や、全身血まみれになった本人が、影のように付き従っているのが見えるようになった。

 山中くんのことはよく覚えている。
 小学四年のとき、同じクラスだった。
 彼は、僕の次に小さくて、同じクラスの男子から、教科書を破られたり、プロレスごっこでスリーパーホールドをかけられたり、自殺の練習をさせられたり、ズボンを下ろされたりしていた。
 それでも彼は、ぎこちない笑顔を浮か
[次のページ]
戻る   Point(1)