小屋/草野大悟2
 
た。僕の家の道向かいにある「セルパン」という喫茶店の一人娘、マミちゃんが、店のドアの前に、顔中血だらけになって立っているのが見えた。
 すっかり驚いてしまって
「マミちゃん!大丈夫?」
そう叫びながら道を横切ろうと駆けだしたとたん、マミちゃんは黙ったまま無表情で、すーっ、と「セルパン」の中に入っていった。僕もその後を追って転がり込むように店内に入った。
「どうしたの、文人ちゃん。青い顔して大丈夫?」
マミちゃんそっくりの母親が、不思議そうな顔をして訊ねた。そのすぐ横には、ウサギのぬいぐるみを抱いたマミちゃんが、にこにこ笑いながら立っていた。
それから二日後、マミちゃんは、店
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