小屋/草野大悟2
 
、う、とか、うん、とかしかいわないんだもん。いっつもそう?」
「えっ、あっ、ま、そう……かな……」
そんな会話にならない会話をしながら、僕と彼女は体育館のすぐ裏手にある「ウサギ小屋」へと歩いていった。
佐藤陽子のために、僕はあっさり、聖域の鍵を開けた。
 一番なついているシロが寄ってきて餌をねだった。
「この子、小さいね。ほら、人参だよ」
シロが彼女の手から人参を食べようとしたその瞬間、他の四羽が寄ってきた。その中でも一番大きいのがそれを奪い取り、うまそうに食べてしまった。
「あっ、あの子、ひど〜い。横取りしちゃったよ、中村くん」
「う、うん、いっつもなんだ。シロ、あ、
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