小屋/草野大悟2
あ、この一番ちっちゃな奴の名前、シロはいっつも他のウサギに餌を取られて、なかなか餌にありつけないんだ。だから、僕、シロには、また別に餌をやってる」
喋れた。佐藤陽子の前で、喋れた。
学校中の男子みんなが憧れている陽子と喋れた。
僕は、自分でも驚きながら、すこしばかり誇らしい気持ちになった。
「そうなんだぁ。かわいそうだね、シロ。ちっちゃいとイジメられたりするもんね、やっぱ」
「うん、イジメられる」
「そう、なんでかなぁ、おんなじウサギなのにね、なんでイジメるんだろ?」
「さあ、分かんない。佐藤さんは、なんでと思う?」
「う〜ん、陽子も分かんない」
「佐藤さんに分かんない
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