山小屋の夜/蒲生万寿
 
の夜、この訪れた山小屋で
私は自らに備わったものを見た
雨が降っても
真澄の空が広がっても
その状況、環境を問わずに
何処も彼処も
美しく全てが等しく
確実に定まっている

私は足元の小石を拾い上げ
手の中で握りしめた
しばらくすると小石は私の体温と同じ温かさを持つようになる

そういうものである
そうやって祝福されているのだ

あらゆるものが
尽き果てぬ喜びに包まれて
宇宙を成し
その中で輝き放つ
実のところ「永遠」そのものとして何処にでも現れている

星と星の旅を終え
夜の闇に冷えた体を抱えながら
私は足早に山小屋へ戻り、寝床に入り込んだ


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