草案と次の草案と詩と幸せ/ヨルノテガム
 
を折ってしまった少年は死を選び
 死にかけた老婆が新たな生命を爆発させようとした
 目を閉じて眠った少女はそのまま起きもせず
 死にも老いもしなかった、花束は枯れても。
 海を渡った頑強な男は砂浜に
 靴と鞄を残して、魚になって消えた
 歩く虫もまた、抜け殻を残し、最後に飛び立った跡、
 虹という虫になり

 美しい果実がみずみずしく
 時を再び、魔法のように生まれ、生まれ落ち
 転がり過ぎゆくのを私は見ている
 私は木の前で立ち止まり
 暑がったり寒がったりした季節をふり返る
 私の中でも何かは膨らみ生まれ羽を持ち
 やがて羽はもがれ落ち、転がり傷みくさるだろう

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