扉/草野大悟2
 

「グリに映っている五人の少女にヒントがあるのよ、きっと」
「そうだ! それだ! 五人の少女だ!」
「ほら、こちらを向いているのは四つの目。他は、下や右や左を見ている!」
「四つの目だ。確かに。こっちを見ている目は四つだ。他の六つのことは考えなくていい」 四つの目が探しているものと、私たちが探すものが同じだということに、なんで気づかなかったんだろう。今頃になって。
確かに探すものは同じだ。一言で言うなら色彩。しかし、根本的に異なることがある。それは、探しているものが重なったときに始めて明らかになる。
 明らかになるものを怖れてはいけない。大多数の人が恐怖に襲われて、せっかく手の
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