扉/草野大悟2
 
ていた。
 大きな翼でどこまで飛んでも、青は消せない。その現実を突きつけられて、絶望しかけていたときに、自分たちの役目に気づかされた。二人の会話が、青鷺の番人魂に火をつけた。そうだ、青を捨てるなんて、なんということを考えていたんだ。青鷺は、一声そう鳴いて、大きな翼で空をたたいた。
 翼のひとたたきで、番人の本来あるべき位置にもどったとき、二人とみんなの姿は見えなくなっていた。
 茜色になった風が、吹いてきた。
 番人は、口を大きく開けて風を飲み込んだ。
 風は、番人の体の中を吹き、青をより鮮やかに染めた。
 二人とみんなは、口に呑み込まれそうになりながら、扉を目指していた。赤が風を見つ
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