扉/草野大悟2
うか? それとも、とうの昔に口に吸い込まれてしまったのだろうか? 少なくとも、こうして、ぶらぶら歩くものたちの邪魔だけは、しないで欲しい。
横走りする稲妻が、直近を走ったとき、イオンの匂いがした。そのあと、雷鳥を直撃して焼き鳥にしてしまったことを、君は、隠している。それを食ってしまったことを、隠している。
都合の悪いことを隠すのは良いことだ。その代わり、一生を賭けて隠し抜くことだ。中途半端が、最も悪い。隠しきること、これがすべてだ。それ以上も以下もない。雷鳥は、焼き鳥になった、それを食った。それでいい。
旨かったか、不味かったかなどは二の次、枝葉末節の論議だ。
あのとき、かっ! が照
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