扉/草野大悟2
なぜ、素直に、ぶらぶら歩こう、と言わないのか。SALCOなど、特定区域内の地域でしか使われない言葉を、得意げに、横文字っぽく喋っているところが青臭い。
そもそも、そうすんなりと扉までたどり着ける、と思っていること自体が緩い。そんなに甘くはない。色彩の真実と無彩色の虚無が口を開けて待っている荒野を歩いていくんだ。
口に落ちる覚悟がなければ、歩ききることはできはしない。
泥鰌鍋でも食って、ぽかぽかになって行け。
悪いことは言わないから、そう、しろ。
それ以外に、たどり着ける方法はない。
蜜豆!
蜜豆をこの緊迫した状況の中で、誰が食う? 食える? そんな奴がいればお目に
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