扉/草野大悟2
。越えた先に何があるのか、などという疑問が涌き上がる前に、越える。越えて、越えて、越え尽くしたところに、言葉が待っている。そんなこと、百も承知だ。言葉だって。
「ねぇ、赤が来たよ」
「来たね」
「青も来た」
「歩いてるね」
「緑も」
「来た」
「黄と赤紫と空色は、まだみたい」
「彼らはおそらく別の道を行くよ」
「どうして?」
「だって……」
「だって、なーに?」
「だって、それが彼らだから」
「行こうか。一緒に。赤と青と緑と」
「黄と赤紫と空色はどうするの?」
「彼らは、僕らには馴染まない」
「って、どういうこと?」
「今に分かるさ。今に……」
遅くやって来
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