扉/草野大悟2
 
からないってこと?」
「そうじゃなくて…、表現する言葉を持たない」
「なに、それ? 言葉なんてそこいらへんにいっぱい転がってるじゃない」
「確かに転がってるね」
「それでもダメ?」
「残念だけど」
「そーお。じゃ、言葉なんか捨てちゃえば?それならどーお?」
「あ、いいかも」
 言葉は、言葉であるが故に限界を内包している。まずは、一つの国という概念で。次に肌の色の違いで。さらには、星という現実。
あまたの銀河系。その相似形。と全く異質な惑星群。
 言葉は、それぞれの、ごく限られたエリアでしか、その機能を発揮し得ない。残念ながら。いや、それが宿命。
 色や音は、エリアを越える。越
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