扉/草野大悟2
 
」「なーに、それ。それって全然分かんない」
「いいんだよ。いいんだ。僕と一緒になればすぐ分かるようになるよ」
「いやだ。一緒になんかならない。あなたなんかと」
「そのとおりだよ。君と僕とは、一緒にはなれない。というより一緒になることが許されない」
「ねえ、じゃどうしてこんなシュラフに裸でふたりで包まってるの? ね、どうして?」
「うーん、必然かな? 必然という幻」
「そうかぁ、そうかも。だって、私は、あなたのこととても嫌いだったわ。初めて会ったころから」
「そう、嫌いだった、俺のこと」
「そう、嫌いだった。あなたはノミみたいに縮こまってみえたもの」
「ノミ? ノミねぇ」
「そ、
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