しおくみざか/れつら
しらない男の子たちは
大きなものを動かすことにばかりかんがえて。
トラックやら、電車やら。
雪の日なんかは、特に
やたらに大玉をこしらえて。
坂の上から転がして。
これで家をつくるんだ、とかなんとか
大きなことを言って。
送電線を伸ばして。接続し、
海のない街にきて。接続し、
道の辺に波打ちのあとをさがして、みつからず、
桃の花をさがしたら、2月は空に溶けて、
溶けた、3月を新芽の色をした新幹線が、溶接する、
知りもしない思い出まで、
わたしたちを運んでいく、今日。
雲を引っ掻いて溶け残った雪。
わたしは歩くたびに、それも
汚してしまう。
たったひとつの街に
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