【残】むしできない オムニバス三篇/るるりら
うな 飛べそうもない羽根をもっておられるそうな
わしらの 御蚕さまは みごとに おおけな羽根をもっておられ
いまどきのこどもらは こわいなどと たわけなことをいう子もおるが
わたしらの 御蚕さまは ちゃんと 飛べるんじゃ
翠の糸を わしらにくださり
わしらの御蚕さまがたは 空を忘れておられんのじゃ
軍都廣嶋じゃて いわれたこともある
じゃが 御蚕さまは いまも羽根を失ってない
㊟*山繭を使った絹作りが広島にはあります。
広島市安佐北区可部地区では 江戸時代頃に
山繭織りは 始まったと言われています
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