六月三十一日/飯沼ふるい
 
そして歩けばいい
積み重ねた故意の失意が
足跡を深める砂丘
錆びついた音響が
骨を震わせ泣いている
そのような
最果ての
更に果てを
歩けばいい
彼もまた誰かを真似て
青く弾ける火花のような
孤児の鎮まらない痛みを
一人抱えて
静かに
静かに
声も忘れて

/

なにもない
爪もない男の
指差すほうには
正確さを求めるなら
なにもなくなる、だが
同心円に
なにもない
が拡がっていくから
差し出されることのなかった
手紙のような、なんてものも
なくなっていくことも
ないのだが

/

ファミレスで昼食をとっていた。
彼には秘密があ
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