エクスペリエンス・レクイエム[或いは]君と僕の円環/ゴースト(無月野青馬)
 
きながら
僕は待っていた
君は
シャワーを浴び終えて
出て来る
そして
インパラを狙うメスライオンみたいに
一直線に
近付かれて
その真っ直ぐな目に
自分の中の
あらゆる弱さを
鷲掴みにされたようになって
脊髄も大腿も動脈も海馬も舌も
鷲掴みにされたようになって
僕は動悸が止まらなくて
硬直したまま
ヘブンズ・ドアを受けて
受けながら
思っていた
あのウェイターみたいな
仕様であれたら
経験があったら
余裕があったら
軽やかさがあったら
きっと
君と
リズムと呼吸と心を合わせて
野獣のダンスを踊れたのに
黄金の時を過ごせたのに
強い君にだ
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