エクスペリエンス・レクイエム[或いは]君と僕の円環/ゴースト(無月野青馬)
 
にだって
まだ見ぬ未知がある筈だから
まだ見ぬ未知を
まだ見ぬ宇宙の一部分を
あのウェイターのように
見せてあげられたかもしれないのに
新しい神話を、マルゲリータを
君と僕で
白いシーツの上で
一瞬を悠久に伸ばして
悠久を一瞬に縮めて
創世出来たかもしれないのに
ドッピオみたいな僕は
メイド・イン・ヘブンに呑み込まれた物質のように
渦を巻き、回転し
一巡したようになって
放心状態で気が付いた
朝だった
君は居なかった
飲み薬の空き容器だけが
特異点なのか
枕元に置いてあった
窓の外
行き交う人達が皆
あのウェイターと同じ顔をしているように見えた
行き交う人達が皆
あのウェイターのように
余裕があり
経験があり
認められた仕様があるように見えた
窓の外では
あらゆる
“気まずい時間”という名の爆弾が
ウェイターの元に戻っているように見えた
つまりバイツァ・ダスト
僕は
キング・クリムゾンを待つ
そして
君を待ち続ける





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