キャンディと王様・前章/にゃんしー
でよバカ!」
海は、人混みの遥か遠くに見える賽銭箱を眺めながら、
「んー……でもこれ無理だよ。あと1時間くらいかかりそう」
と言った。
「じゃあどうすんのー。高校合格、祈らずに帰るのもやだよ」
乙彼が駄々をこねるように言うと、海は、ぱっと表情を明るくしてこう提案した。
「こうしようよ!
乙彼がさ、ここからお賽銭投げて入れるの、そんで水樹が祈るの。どう?」
3人は人の少ないエリアに移動して、5円玉を3枚、糸でくくりつけた。
「いつもウインドミルだからなあ。オーバースローで投げるの、初めてかも」
乙彼はそう言って軽く投げる振りをすると、水樹を振り返って言った。
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