キャンディと王様・前章/にゃんしー
でに祈ってきて」
ぎゅうぎゅうの人混みの中、真っ先に音を上げたのは、やはり乙彼だった。
彼女は万事に対して、無気力なきらいがある。
「おい、賽銭箱まであと少しやろ。行くぞ!」
一方、分かりやすい体育会系で、万事熱意のある水樹は、
乙彼の腕を引っ張って人混みの中に割り込んでいこうとする。
「どうせ私が願っても叶わないから。水樹が祈ってきてよ、ラッキーガールでしょ」
「何言うてんねん。おい、行くぞ! しゃがむな!」
「水樹、いつも大吉だし、宝くじだって当ててたじゃん。行ってきてよー」
「うち、着物やねんぞ。お前、身軽やねんから行けや!」
「いーかーなーいー。引っ張らないでよ
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