虚構/葉leaf
 
どどこにも存在しない。人を愛することも人をけなすことも、儀礼にすぎず誠実さなど全く失われているかのように思えてくる。絶望することすらできずに、暮れゆく世界の中老いてゆくわが身に偽物の悲しみを寄せるのである。青春を生きる人々は、同時に晩年をも生きている。

青春はときおり老年の装いを見せる。もはや死は確定してしまった。若者たちの楽しそうな談話をしり目に孤独に思索にふける。もはや若さを完全に失ってしまい、若者たちの輪の中には入れない。輝かしい連帯、輝かしい親和から疎外されたところに、ただただ恐怖だけを感じて死の重さをかみしめるときもやってくる。青春を生きる人々は、同時に老年をも生きている。


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