アルバイトの備忘録/ichirou
に入れる仕事。
仕事は単純だが、あおられるととても大変だった。
僕は人気のカニパンとクリームパンとメロンパンを担当した。
僕の後工程にはあんパンとうぐいすパンを担当していたS君がいた。
S君はいつも母親に半ば無理矢理に連れてこられていた。
S君はしょっちゅういなくなった。その度に母親がS君を連れ戻してきた。
いい加減頭にきていた僕はS君に言った。
「お母さんに心配かけたらダメだろう。」
S君はその瞬間に工場を出て行った。
しばらくしてS君はまた母親に連れ戻されてきた。
僕はS君に謝らなかった。またS君が逃げてしまいそうな気がして。
その代わり僕は次の日からS君を観察してS君が
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